理想の自分に苦しむ主人公を描いた映画「ハイヒールの男」
どうも。
先日、Netflixで映画を観たので、その紹介と感想を書こうと思う。
韓国で制作された映画「ハイヒールの男」だ。
※結末のネタバレありなので注意。
あらすじ
犯罪組織からも恐れられる脅威の戦闘能力と暴力性、そして完璧な肉体と容姿を兼ね備えた刑事ユン・ジウク。しかしそんな彼にも人に言えない秘密が一つだけあった。それは<女性になりたい>という願望を持っていること。長年そのことで葛藤を続けてきたジウクだったが、ある出来事をきっかけにして遂に、自分の心の声に従う決意をする。だがその時、容赦無い暴力と悪意が、その運命をあざ笑うかのようにジウクの身に迫っていた・・・。(公式より)
近年、性的マイノリティを扱う作品が多くなっているが、この映画ではトランスジェンダーの苦悩が描かれている。
トランスジェンダーに関しては、性同一性障害というとピンとくる人も多いかもしれない。(ちなみに性同一性"障害"という表現はあくまで病名なのであまり使わない方が良いだろう。)
自分の体の性別に違和感を持つ人のことだ。
トランスジェンダーの説明として「体は男なのに心は女、またはその逆」と言われることもあるが、はっきり心の性別を分けられない人もいるということは知ってもらいたい。
世間の理解のなさへの苦悩
ジウクの容姿は非常に男性的で、女性の格好をしてもどうしても本物の女性には見えない。
とある任務で彼女がした女装を、周りが似合わない・気持ち悪いと笑って話していたシーンは、設定を知っている私は苦笑するしかなかった。
現実でも、女装を笑いのネタにする文化は存在している。
ジウクの同僚たちも、まさか彼女がそうだとは想像もしなかっただろう。
男性としての戦闘能力を評価され、女性としての自分は世間には認識されない。
ジウクはその生活に苦しんでいたからこそ、辞職し手術に踏み切ったのだと思う。
韓国も性的マイノリティに寛容ではないが、日本も同じだ。
男女の役割に対する固定概念がこびりついており、なかなか消えない。
きっと全ての人が、自分の理想の姿を追求できる社会だったならば、ジウクは思い悩むこともなかっただろう。
本当に大事にしたいものと理想の自分を天秤にかけて
ジウクには初恋の相手が自殺するという悲しい過去があり、彼の面影が見えるその妹チャンミには強い愛情を持っていた。
そんなチャンミが、手術直前に犯罪組織に誘拐されてしまう。
今までずっと求めていた「女性になりたい」という気持ちを諦め、結局ジウクはチャンミの命を優先させたのだった。
チャンミにその気持ちを打ち明けることはできなかったのだろうか。
両方手に入れることはできなかったのだろうか。
最後はジウクの選択に複雑な気持ちを抱いた。
全体の感想
戦闘シーンはかなりバイオレンスでグロいので、苦手な人にはおすすめできない。
後半、メイクをし女性の服を来たジウクはとても美しかった。
彼女の迷いのない強い決意や自信がそうさせたのだと思う。それを見事に演じた俳優チャ・スンウォンは素晴らしい。
私はこの映画をとても気に入った。
結末はハッピーエンドとは言い切れないが、守りたい大切なもののために理想を捨てるジウクの決断は本人が決めたのだからしょうがないと思う。
ただ、本当は理想を全て手に入れてジウクが幸せになることだった。
映画の中の話とはいえ、似たことはあると思う。
実際、そうである事実を隠しながら家庭を持つ人もいる。
いつか社会がもっと寛容になってくれることを望む。
価格:3,352円 |
ではまた。